君の名は。特集「MdN DESIGN&GRAPHIC 10 vol.270」の感想。新海監督の優しさはどこからやってくるのか?
雑誌MdN DESIGN&GRAPHIC 10 vol.270を読みました。
特集内容として「君の名は。彼と彼女と、そして風景が紡ぐ物語」とあります。
とても興味深い表紙になっています。
このシーン、映画ででていたのが記憶にありません。
ほんの一瞬のワンシーンで、写っていたのかもしれません。
だからあったのかもしれないけれど、僕は記憶にない絵だったのですね。
だからこそこのMdNに惹かれてしまったのだと思います。
MdNには作画監督の安藤雅司さんと、田中将賀さんのインタビューに加え、
キャラクター原案が載っています。
色彩設定の三木陽子さんへのインタビューも興味深いものでした。
新海監督の作成方法は独特のもので、他の人とは違うことがわかります。
以前の記事:君の名は。の「新海誠、その作品と人。EYESCREAM」感想 新海ファン必見の書でも書きましたが、新海監督は言葉のちからを信じていて、絵と音楽の力を合わせて大きな映像作品に仕上げようとしているのです。
hyakumemo.hateblo.jp
各インタビューでは、それぞれがどんな想いで「君の名は。」と作っていたのか?新海監督はどんな人なのかをじっくりと知ることができる内容になっています。
SWITCHインタビュー新海誠×川上未映子でわかる監督の想い
TV番組のSWITCHで、新海監督と小説家、川上未映子さんの対談がありました。
ここで、とても印象深いことを新海監督が発言しています。
「今回の君の名は明日会うかもしれない人についての話でもあるんです。」
「夢の中で誰かと会う話なのですが・・・」
「現実でも明日誰か知らない人に会うかもしれない」
「何年後かにもっと大事な人に会うかもしれない」
「そういう人が未来にいることを強く信じてもいい」
「まだ会っていない人の中にすごい大事な人がいるかもしれない」
「それを言いたいし、(大事な人が)僕はいたから」
この言葉がすぐに口から出るのは、いつもそう思い続けながら、頭で思い描きながら葛藤しまくって作っていたからこそ出る言葉です。
もちろん世の中には口からスラスラとでまかせが言える人もいますが、
新海監督は、作品を作るにあたってこうであって欲しい。こう伝わってくれたら良いなと強く強く思い続けているはずなんですね。
だからこそ、作る時も細かいのです。
撮影や、リサーチも、音楽やスタッフに対する要求度も求めるものが高くなるのは当然ですよね。
なぜ惹きつける絵なのか?それがわかる解説
MdNでは美麗な絵とともに、なぜその絵を使っているのかを説明しています。
絵が綺麗なだけではなく、意味と想いを込めているのがわかります。
そう、綺麗なだけではない、プラス何を伝えたいのか、表現したいのか?が大事なのですね。
アニメの設定で大切な構図ですが、その背景も心情模様としてしっかりと描かれています。
ですが、考えこむシーンだからと言って、暗いわけではないのも、興味深いところです。
あえて、写真には載せていませんが、新海監督の思いが綴られています。
10代のときに感じていた焦り、怒り、悲しみ。
そして喜びと恋心。
新海監督の考えと意思をじっくりと堪能できる一冊になっています。